予防歯科の基礎知識

 定期健診の意味   虫歯予防    歯周病予防    口臭予防  

定期健診

バイオフィルム

 歯の表面から歯垢が除去されずに残されてしまうと、歯垢は口腔内細菌と一緒になって、かつ、口腔内細菌が作り出す毒素をはじめとする産生物を取り込んで内包して、バイオフィルムという物質に変化します。  このバイオフィルムは、その表面の膜が体の免疫作用などに対する抵抗力を持ち、持続して周囲に毒素を出し続けます。

 歯磨きを頑張っても、細かい所が非常に磨きにくいままになっていることはよくあることです。  特に、歯と歯肉との境目辺りや、歯と歯の間辺りとかは、歯垢が残りやすくなっていますよね。  そういう歯垢はやがてバイオフィルムを形成して、産生された毒素により虫歯や歯肉炎(歯周病)を起こします。
バイオフィルムが除去されないままだと、持続的に病状は進行します。  そうなると、歯肉ポケット内やバイオフィルムの内部を中心として細菌が増殖して酸素を消費します。  その結果として酸素が減ると、好気性菌が減り、より悪性度の高い嫌気性菌が増えて、虫歯や歯周病を増悪させて行くのです。 

 バイオフィルムは、普通に歯ブラシで磨いても除去できないので、超音波や専用の手用器具などを用いて物理的に除去します。

お口の中の細菌の動静

 一度お口の中を超音波などを用いてクリーニング(プロフェッショナルケア)すると、バイオフィルムの除去などに伴い、口腔内の細菌の数や毒素の量が術前の 1/100〜1/1000 に減少することが分かっています。
 
 上の図でわかるように、一度きれいにしても、10週間、約3ヵ月間で元の細菌数に戻ることも知られています。 通常は体の抵抗力もあるし、ある程度のプラークコントロールは保たれているので、元の数に戻ったから直ぐにお口の中で悪さを起こすわけではありません。 しかし、ポケットが深くて元々悪玉が多い所や歯磨きの苦手で歯垢が溜まりやすい所、体の抵抗力が落ちている時、などは急性発作を起こして歯肉が腫れて痛んだりすることもあります。 また、いくら丈夫なエナメル質でも長期に渡り歯垢が付いたままであると、虫歯が歯の内部に拡大・進行して、痛みを生じることもあるでしょう。


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